映画応援団「シネマエール東北」 - 東北に映画を届けよう!プロジェクト

各年度の報告

■ 2013年06月13日(木)

2012年度活動報告

映画を届けることで、映画を愛する世界中の人々が、被災地を見守っているということを被災地の皆さんに伝えていきたいという思いからスタートした「シネマエール東北 東北に映画を届けよう!プロジェクト」。
本格的に上映がスタートした2011年6月から2013年5月まで2年間、
多くの方々のご支援をいただき、400回近い上映会を開催、たくさんの方に映画を届けることができました。
  

2012年度の上映回数・会場数・参加者数は・・・
2012年4月~2013年3月の1年間で、
岩手、宮城、福島を中心に、161回の上映会を開催、約7700人の方に映画を届けました。
2011年6月からの約2年間ではのべ372回の上映会を実施、1万5000人をこえる方々に映画を楽しんでいただくことができました。
上映会の様子は、シネマエール東北のウェブサイトwww.cinema-yell-tohoku.com でみていただくことができます。

上映会を開催した市町村
2012年度は、下記の26市町村で上映会を開催しました。
岩手県:岩泉町、大船渡市、大槌町、釜石市、田野畑村、野田村、宮古市、陸前高田市、山田町
宮城県:石巻市、岩沼市、気仙沼市、名取市、東松島市、南三陸町、山元町、亘理町、仙台市宮城野区、仙台市若林区
福島県:会津若松市、いわき市、伊達市、福島市、南相馬市、相馬市(山形市)

上映した作品
上映した作品の数は50作品を越えました。
2011年度に引き続き2012年度も、松竹株式会社、東宝株式会社、東映株式会社、角川書店から無償で作品(DVD)をご提供いただきました。これらの作品を中心に、上映する会場の状況、参加者の年齢層や希望に応じて、いろいろな映画を上映することができました。
 
 仮設住宅の集会所などでの上映は主にDVDで行いました。子ども向けの上映会では「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」(東宝)や「ワンピース」(東映)といった作品を上映、高齢者向けには「男はつらいよ」シリーズや「釣りバカ日誌」シリーズ(松竹)、あるいは「瞼の母」といったクラシック作品を上映、家族向けには「Allways 三丁目の夕日」(東宝)等の作品を上映、多くの人たちに喜んでいただくことができました。

新しい映画祭、継続的な上映会も始まりました!
被災地域の復興・復旧に伴い、公共文化施設の使用も可能となり、35ミリフィルムでのやや規模の大きな上映会も実施することができました。サイレント映画の活弁+演奏付上映はどこでも好評を博しています。
岩手県みやこシネマリーンでは、被災地での巡回上映会が100回となったのを記念して6月に『生れてはみたけれど』の活弁+演奏付上映会を開催、石巻市では7月のStand up Weekに、被災したビルの壁をスクリーンに活弁付の野外上映会を行いました。また、岩沼市では東北大学のスクール・オブ・デザインが行う上映会に協力、公園に巨大な繭のような形をしたテント(Moom)をつくり、その中で活弁上映会も実施しました。福島では、「福島こどもみらい映画祭」と連携して、いわき市や会津若松市で野外上映会や夏休み子ども映画会を開催しました。

秋以降は、文化なしごと創造事業(内閣府復興支援型地域社会雇用創造事業)の研修プログラム・実地研修と連動して、岩手県宮古市、宮城県石巻市、福島県南相馬市で、それぞれの地域に応じた個性的な上映会を企画・実施しました。

■岩手県宮古市 みやこほっこり映画祭 2012年11月23日~25日
http://ほっこりみやこ.jp/ 
http://cinemarine.blog45.fc2.com/blog-entry-510.html 
■宮城県石巻市 ISHINOMAKI金曜映画館 2012年12月8日、9日
http://www.facebook.com/kinyoueigakan.ishinomaki 
■福島県南相馬市 「朝日座」上映会 2012年11月23日
http://www.facebook.com/asahihamatanoboru 


2013年度は、地域に映画上映の拠点をつくる活動をさらに進め、上映者育成のためのワークショップなども実施する予定です。
12月下旬~3月上旬には、株式会社ポケモン(ポケモン映画制作委員会「ピカチュウプロジェクト」)と共同でポケモン映画の最新作『ポケットモンスター ベストウィッシュ『キュレム VS 聖剣士ケルディオ』の上映会を、ワークショップと合わせて、10会場で開催しました。気仙沼市や南三陸町、東松島市、相馬市など、映画館まで1時間以上かかる三陸沿岸の町で、最新のポケモン映画が上映されるということで、いずれの会場にも多くの子どもたちを迎えることができました。石巻市、釜石市や大槌町など、公共施設のほとんどが被災、流失した地域でも、改修・修繕を終えて再開した施設や、新たに設けられたコミュニティスペースでの上映を実現することができ、文化事業の面でも少しずつ「復興」が進んでいることを実感することができました。

募金・助成・支援  
活動を開始してから2013年3月末までに、150件(個人、団体を含む)を越える方々から、約700万円の募金をいただきました。今年度も東京国際映画祭から多くの募金が寄せられています。2011年6月からずっと募金を続けて、何度も送金してくださっている映画館や上映団体もあります。また、2012年度は芸術文化振興基金、ニューヨークのジャパン・ソサエティから助成をいただきました。
そのほか、株式会社ポケモン、株式会社ダイナムとは共同で上映会を開催しています。

多くのボランティアが参加
上映会には、多くの方がボランティアとして参加してくださっています。
会場の設営や撤収作業はもちろんのこと、お年寄りの方と映画のお話をしたり、子どもたちにアニメーションの簡単なワークショップをしたり、35ミリフィルムでつくった栞をプレゼントしたり、お茶やコーヒーをサービスしたり・・・ボランティアの方の活動はとても大切です。

共催者である東日本映画上映協議会の構成メンバー、日本映像職能連合(映職連)の方たちも、2011年度につづき、映画館「みやこシネマリーン」と「一関シネプラザ」で上映会を開催しました。「大鹿村騒動記」「幕末太陽傳」を上映、ゲストとして崔洋一監督、でんでんさん、石橋蓮司さんらが来場、大いに盛り上がりました。
石巻のStand up Weekでは、一箱本送り隊が開催する「一箱古本市」などのイベントと連動して、野外での活弁・ピアノ演奏つき上映にも挑戦、好評を得ることができました。
ほかにも映画に関わる多くの人たちが、「シネマエール東北」を支えてくれています。


これから
シネマエール東北では、2013年度も、仮設住宅の集会所等における社会福祉事業的上映を継続しながら、被災地の文化事業の復活を支援する上映にも力点を置き、映画の力で多様な側面から被災地を支援し続けたいと考えています。
東日本大震災の被害は甚大であり、当初2年間とされていた仮設住宅の居住期限は多くの地域で延長されることが決まっており、まだ、多くの人が仮設住宅に残ることを余儀なくされています。仮設に残る高齢者を中心とした人々が置かれている状況は、物理的にも精神的にも厳しいものがあります。震災から2年を経過し、被災地は"非常時"を過ぎ、"日常"を取り戻していますが、その中で、被災者が置かれる状況に「格差」が生じ、コミュニティや家族の解体、高齢者の孤立といった課題が固定化しつつあることも否めません。仮設住宅集会所での上映会が、こういった課題の直接的な解決手段になることはないでしょうが、課題解決の一助とはなりうるものであり、継続する必要があると考えています。
他方、文化事業・文化施設の再生、復興が進む中、シネマエール東北としては、4月以降は、岩手県宮古市(及び釜石市)と宮城県石巻市などを拠点に、同地域で活動する団体とともに、映画上映を軸とした文化事業を継続的に実施することができる「場」つくることを目標に事業を企画・実施していきたいと考えています。


シネマエール東北の活動は、皆様からのご支援に支えられています。
もうしばらく、シネマエール東北の活動が続けられるように、
今後も、ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします!


シネマエール東北主催者一同
一般社団法人コミュニティシネマセンター

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