映画応援団「シネマエール東北」 - 東北に映画を届けよう!プロジェクト

各年度の報告

■ 2014年07月10日(木)

岩手、宮城、福島各県の活動報告2013

東日本大震災から3年目の2013年度も多くの皆様からの温かいご支援によりまして、引き続き被災地域での映画上映会を実施する事ができました。
 3年が過ぎ、被災地では復興の槌音が響いてはおりますが、まだ岩手県内では避難生活で不便なくらしを続けている方は3万4千人もいるのが現実です。生活再建への先行きの不安が広がり、人口流出の要因ともなっています。この間、被災地域を支えてきた支援団体活動が縮小となり、ボランティアの数も大きく減っていく中、震災が風化していくことへの不安も広がっている状況であります。
 仮設等でのイベントも激減していく中、この映画を届けるシネマエール東北の継続した活動は子どもからお年寄りまで多くの人達に<楽しい時間><憩いの時間><交流の場>を提供することができ、「映画」が被災者の気持ちに寄り添い、大きな「心の支援」につながっていると感じています。


支援団体やボランティアが縮小していく中でも、地域に根ざして映画を含め文化・アートを通じてのまちづくり活動していく新たな団体もでき、一緒になって上映会ができました。映画鑑賞だけではなく、様々なイベントやワークショップも併せて企画実施できました。


▲釜石カルチャーリサーチパーク(シネマ釜石)共催上映会
仮設商店街の七夕イベントに合わせ屋外上映会を企画(天候の影響で室内に変更)、12月にはクリスマスシネマパーティと題し、映画鑑賞+クリスマス会など企画実施できました。


▲地域コーディネートセンターみやこ(現 NPO法人みやこラボ)共催
夏休み映画遊び場in田老 映画のむかしワークショップ&上映会
田老児童館や一般参加の子ども達がたくさん集まってくれました。映画の原理のワークショップとゾーエロトープ工作。そのあとはみんなで映画鑑賞しました。


▲POKEMON With You ポケモン上映キャラバン ㈱ポケモン主催
被災地上映会は通常旧作が中心なのですが、㈱ポケモン様との共同でまだパッケージ化されていない新作ポケモン上映もキャラバン的に実施、DVD等ではまだ観る事のできない作品にポケモン工作ワークショップや着ぐるみピカチュウ登場に、多くの親子連れで賑わいました。


▲シネマエール東北×日本映像職能連合共催 支援上映会
映画館を使用した上映会はシネマエール東北と映職連との共催で「麻雀放浪記」「野菊の墓」の無料支援上映会を実施し、たくさんの方々に「映画館」で映画を楽しんでもらう事ができました。

その他、2回目となった「みやこほっこり映画祭」を開催、日本アカデミー賞協会様より無償で作品をご提供いただきました。映画祭は映画館だけではなく、商店街の空き店舗を利用したフリースペースやcafeなどで、地域の方々と一緒に実施することができました。

4年目をむかえ、今後、復興住宅の建設が進んでいき仮設住宅の統廃合も出てくると思います。被災し住む場所を失い、仮設住宅の生活が3年も続いているところで、再度の引越しと新たなるコミュニティ作りが始まります。ますますソフト面での心のケアが必要になってくると思います。映画<人達が集まる空間>を通して、新たなるコミュニティ作り、コミュニティ再生の一助のなるよう、「映画」の力を信じて、これからも引き続き活動していきたいと思っております。
皆様からのこれまでの支援に心より感謝いたしますと共に、これからも引き続きご支援ご協力をお願い申し上げます。


シネマエール東北 岩手担当
みやこシネマリーン 櫛桁一則


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3年目を迎えてスタートした2013年「シネマエール東北 東北に映画館を届けよう!」プロジェクト、宮城県ではゴールデンウィークの「いしのまきっず映画館」からスタートしました。「いしのまきっず映画館」では、映画の仕事を体験するというワークショップを合わせて行いました。映画の製作、配給、上映の専門家の話を聞いて、中村義洋監督の『ポテチ』の上映会を実施。小学生は石巻の中瀬で段ボールを使って映画館づくりに挑戦しました。ワークショップには中村義洋監督やユーロスペースの岡崎真紀子さんにもきていただきました。
このワークショップは、石巻で活動を始めた「ISHINOMAKI金曜映画館」の企画として実施したものです。


「ISHINOMAKI金曜映画館」はシネマエール東北の活動が契機となって生まれた上映活動です。震災後に生まれたISHINOMAKI2.0(「世界一面白い町をつくろう!」と様々な活動を展開)とシネマエール東北が主催者となり、株式会社まちづくりまんぼう、岡田劇場(震災前まで中瀬にあった映画館)、石巻シネクラブなどの協力を得て、市民自身が企画者=観客となる「わたしのまちの映画館」となることを目指して活動を2012年12月にスタートしました。                                                    
https://www.facebook.com/kinyoueigakan.ishinomaki


東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻市の中心市街地、かつては6館もの映画館があった石巻の街なかで映画を見る楽しみをもう一度取り戻そうと、2013年秋からはほぼ毎月1回上映を行うことができるようになり、いまでは、石巻の人たちにも親しまれる存在となりつつあります。
ISHINOMAKI2.0が2011年以来、開催している夏の一大イベント「STAND UP WEEK」の前夜祭の野外上映は恒例の行事として定着し、今回も多くの子どもたちが「ドラえもん」最新作をみにきてくれました。また、川開き祭りで歩行者天国になった石巻のメインストリート「アイトピア通り」では、震災前の石巻の様子を撮った貴重な映像「昭和の石巻」の野外上映も行い、喜んでいただくことができました。


宮城県では、ほかにもさまざまな上映会を実施しました。石巻の仮設住宅では、おなじみとなっている京都民商さんとの共同イベントを実施、映画上映とミニコンサートや手品ショーなどをあわせて実施、楽しんでいただきました。


今年一番印象に残っているのは、気仙沼市の大島児童館で行った上映会です。気仙沼地区には4つの児童館があり、大島児童館以外の3つの児童館ではこれまでにそれぞれ2~4回上映会をやっていますが、大島児童館は離島にあるのでフェリーを使って行かなくてはならず、宿泊する必要があることもあり、これまで実現できませんでしたが、ようやく、1月に念願の上映会を実施することができました。この日は、開始時間のだいぶ前から小学校低学年を中心とした子どもたち30名ほどが集まり、映画を楽しみに待っていました。震災後3年目になりますが、大島での映画上映は初めてだということで、よほど楽しみにしていたのでしょう。目を輝かせ真剣な眼差しで見ていたのが印象的でした。本編が終わって、クレジットが流れて上映がおわるまで誰一人席を立つ子どもがいませんでした。


大島の子どもたちに3年目にしてやっと映画を届けることができて、本当によかったと思いました。こんなに楽しみに待っていてくれる子どもたちのために、今年度も必ず映画を届けたいと考えております。
最後になりますが、シネマエール東北の活動に協力いただいております配給会社の皆様、募金に協力してくださっている映画関係の皆様本当にありがとうございます。
2014年も、映画を楽しみにしている被災地へ映画を届けていきたいと思います。

宮城県担当
 NPO法人20世紀アーカイブ仙台 理事長 坂本 英紀
(一般社団法人コミュニティシネマセンター 事務局長 岩崎 ゆう子)

 

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2011年度、2012年度に引き続き、認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭のスタッフと協同で仮設住宅の集会所などでの上映会を行いました。また、上映活動を通じて知り合った福島県内で活動している「福島こどものみらい映画祭」や「NPO法人ビーンズふくしま」「元気虹の和プロジェクト」「NPO法人つながっぺ南相馬」のみなさんとも繋がりが深くなり連携して、伊達市、福島市、相馬市、南相馬市、三春町などで活動を行いました。


福島県では、プレパブ校舎で勉強を続ける伊達市の梁川小学校の子どもたちのための夏休み映画会を行いました。震災以来三年目の上映会なので校長先生やPTAの役員さんともすっかり顔なじみで会場の準備もみなさんに手伝っていただきましたし、子どもたちには去年同様手書きのポスターを作り学校に貼ってもらいました。福島市の在庭坂にあるデイサービス施設「まごころサービス福島センター」でも見なし仮設(アパート等)や仮設住宅で暮らす子どもたちに集まってもらい夏休み映画会を行いました。この時は福島大学の学生さんも参加して遊び相手になりとても賑やかで楽しい上映会になりました。

一方高齢者向けの上映会は南相馬市の仮設住宅を春と初冬に分けて8ヶ所ほど回りました。仕事の都合で週末や連休に伺うのですが、避難者の皆さんは居住制限地区にある我が家の様子を見に行ったり、県外に避難している息子娘家族に会いに行って不在だったりすることも多く、また単身で仮設住宅に暮らす方々は引き籠りがちで、なかなか集会場には来ていただけませんでした。
 それでも「ココロ寄席」の噺家さんとのコラボレーションで映画と寄席をやった時は、大変喜んでいただきました。秋頃からは復興公営住宅の建設が始まりました。春には入居できるということで仮設に住む人々はその日を心待ちにしています。また、3年に渡る仮設暮らしにほとほと疲れ、いつ戻れるかわからない家のことは諦めて仮設住宅の近くに住宅を新築し終の住処とする人々も現れました。


山形県内では、7,000人弱の方々の避難生活が続いていました。福島の隣県であり友人や親戚など人の繋がりも深いこともあり昨年始めまでは約1万人の人々が避難生活をしていましたが、進学・就職をきっかけに福島に戻る人、東京や長野に転居した人々います。放射能に汚染された土地を諦めて山形に定住することを決めた人々もいますが心中穏やかではありません。私たちは復興ボランティア支援センターやまがたのスタッフと協力して交流会を企画、初夏のさくらんぼ狩り、秋の芋煮会、冬の雪灯籠まつり見学会などを通じて交流・懇親を行い世間話しやちょっとした困りごとや心配ごとの話しも聞きました。

映画を通じた交流は、様々な人々をつなぎ、心に希望の火を灯すことができます。残念なことに物理的な復興は3年も経過したのに震災直後そのままの処もあり驚く程進んでいません。心の復興はそれ以上の困難さがあります。余りも多くのことが短時間のうちに起こったために、これまでの気持ちや心を取り戻すためには長い時間がかかることが予想されるからです。しかし、私たちは映画を通じて可能な限り寄り添い伴走し、励まし続けます。

 全国の映画関係者の皆様には、これまでの長きに渡るご支援ご厚情に深く感謝申し上げます。しかしまだ道半ばであることは変わりませんので、どうぞ今後も温かい見守りとご協力を賜りたく切にお願い申し上げます。


シネマエール東北 福島県・山形県担当
山形県映画センター 宮沢 啓

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