映画応援団「シネマエール東北」 - 東北に映画を届けよう!プロジェクト

上映会レポート

■ 2015年08月01日(土)

南相馬市『アナと雪の女王』

2015年8月1日(土)
朝日座(福島県南相馬市原町区大町1丁目120)
『アナと雪の女王』


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関東大震災の年1923年に誕生した朝日座は当初「旭座」としていましたが、1952年に現在の「朝日座」となりました。当時は当たり前だった映画も実演もできる劇場として、原町・小高・鹿島の人たちに長く愛されてきました。1991年に惜しまれながら常設の映画館としての興行を終了、この時を以って同地区には映画館が無くなりました。
それから20年後、2011年の東北大震災とその後の原発爆発を受けて、地域のシンボルとしての朝日座への関心が地元で高まりました。
そして市民の中から〈朝日座を楽しむ会〉が誕生、今日まで月一度の映画上映やライブの開催を中心とした活動が続けられています。
日本アカデミー賞協会は「東北に映画を届けよう!」と言うシネマエール東北の活動に賛同し、2013年から三部門(日本映画・日本映画アニメーション・外国映画)の日本アカデミー賞最優秀作品賞の東北での上映を、作品関係者の協力を得て実現して来ました。そしてこの度の『アナと雪の女王』上映となったのです。

8月1日、土曜日。全国的な猛暑は南相馬市原町区でも同様でした。それでも浜通りと呼ばれるこの地域は、福島駅のある中通りほどには気温が上がらないのが幸いです。この日の福島市内は37度を記録しましたが、原町は32度でした。
問題は古い建造物である朝日座にはエアコンが整備されていないと言う事です。
そこでこの日の上映に向けて関係者のみなさんは様々準備をされていました。
まずは来場者全員に南相馬名物<アイスまんじゅう>の冷たいプレゼントが配られました。加えて場内には6本の氷柱と扇風機が設置され、客席へ冷風を送る仕組みが作られていました。

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60年以上の伝統の冷菓。実は落とさずに食べ切るのが難しいんです。製造元の松永牛乳からは氷柱も提供頂きました

今回は昼夜2回の上映となりました。
昼間午後1時30分は「吹き替え版」の上映です。
母娘を中心としたお客さまが次々と来場されます。
みなさんに場内の暑さのお詫びをしながら、万一の場合はロビーでお待ちしていることを伝え、いよいよ上映が始まりました。
上映中の場内ではうちわや扇子が動き続けていました。途中トイレに立つ子供が数人いましたが、気分が悪いと訴える人もなく無事に終了しました。
観終わってロビーに出て来る子供たちはさすがに暑そうな様子でしたが、それでも「楽しかった!」と大きな声で言ってくれる子供たちがたくさんいました。
お母さんたちは「家で何回も見ているのに大きいスクリーンが良かったんですね」と子供たちの感想にこちらも満足そう。
全体で70名を超えるお客様が来場されました。
無事の終了と大好評の感想に関係者一同ホッと胸を撫で下ろしました。

夜部は字幕での上映です。
カップルが多くなると思っていたのですが、それ以上に独りで来られる男性客も多く、合計30名を超えるお客様が来場されました。
終映後、〈朝日座を楽しむ会〉の皆さんがロビーに冷たいビール・飲み物と食べ物を用意して、鑑賞を終えたお客さまに<しゃべり場>を提供して下さいました。
「映画はみんなで一緒に観るのが良い。そして観た後に一緒に話すのがまた愉しい」
「やっぱり大きいスクリーンはいいわ」
「音も絵も良かった」
様々な感想の声が上がり盛り上がる中、話は次第に朝日座そのもので映画を観た思い出に移って行きます。
「小学生の頃は割引券もらって来たな」
「子供の時は舞台の上に乗って見た」
「二階の炬燵(こたつ)に入ったのが楽しかった」
続々と面白い昔話が飛び出します。
 こうして観客の賑わいを取り戻した朝日座上映会は大好評の内に無事終了したのでした。

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--主催--
一般社団法人コミュニティシネマセンター (シネマエール東北)
福島県立博物館
--共催--
東日本映画上映協議会
NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭
山形県映画センター/フォーラムネットワーク
--特別協力--
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
--協力--
東和プロモーション株式会社
福島県興行生活衛生同業者組合
--後援--
日本アカデミー賞協会
--支援--
芸術文化振興基金

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