映画応援団「シネマエール東北」 - 東北に映画を届けよう!プロジェクト

上映会レポート

■ 2015年11月30日(月)

南相馬市 朝日座『STAND BY ME ドラえもん』

2015年11月14日(土)

福島県南相馬市朝日座 (福島県南相馬市原町区大町一丁目)
『STAND BY ME ドラえもん』

DSCN6813.jpgのサムネール画像

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当日はあいにく天候が雨で少し肌寒い感じもしました。私たちが会場に着いた時はすでに朝日座を楽しむ会の方々が会場準備を始めてくださっておりました。前回に引き続き日本アカデミー賞協会の富山さんもお手伝い頂きました。

 旧式の業務用暖房機を2時間前から焚いて場内を暖めており、加えて楽しむ会のお母さん達の気遣いで膝掛け用にブランケットも用意されていました。
 上映時間までの間、劇場前ロビーの大型ストーブを囲んで子どもたちと朝日座を楽しむ会のお母さんたちが楽しそうにお喋りしていました。今回は上映回数1回だったので、上映の合間を使って子どもたちや楽しむ会のみなさんとお話できる時間はあまりとれませんでした。映写準備が終わってからまだロビーのソファに座っていた兄妹に「今日のドラえもんは観るのはじめて?」と聞くと、お兄ちゃんが「観たことある。」と言い、妹さんが「私はちょっとしか観てないもん。」と言うので訳を聞くと、地上波放送のことを言っていたようで、今日は妹さんが観るためにお兄ちゃんも一緒ということのようでした。この二人も上映中、他の子どもたちと同様に笑い声をあげたりしていたので、一度テレビで観たお兄ちゃんもちゃっかり楽しんでいたと思います。特にドラえもんの道具でジャイアンがスネ夫を好きになって追いかけるシーンでは大人も含めて大勢が笑っておりました。
 他の出来事ですと、まだ歩き始めたばかりの幼児が上映中席を抜け出してスクリーンの方に駆け寄ったり、気持ちが高揚したのか声を上げる度に捕まえに走るお母さんがいらっしゃって、それを申し訳なさそうに何度も私たちに謝っていらっしゃいました。私たちが「映画館でだって子どもははしゃぐんだから大丈夫ですよ。他の上映会でも小さい子はみんなそうですよ。」というと少し安心していたようでした。

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 震災から5年が経とうとしており、あの津波の映像なども過去のことのような感覚を持つ方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、帰宅路で確かな恐怖を味わいました。雨で視界も悪く街頭も乏しい道路の白線が消えかかった分岐点で一本道路を間違えてしまいました。北上すれば大丈夫だろうとそのまま峠道を進みましたが、飯館村を通る真っ暗な道路のカーブで、ヘッドライトに浮かんだのは路肩に積まれた黒いフレコンバッグ(除染土が入ったもの)の山です。その数の多さには驚きます。「除染作業中」と書かれたのぼり旗が揺れる意外に何の気配もありません。民家も点々と見受けますが、居住制限区域のため夜7時ころでも家の明かりはまったくありません。これが福島の現実だと痛感させられました。映画を観て楽しんでくれた子どもたち、その子どもの顔を見て喜んでいるお母さんたち、朝日座を楽しむ会のみなさん、上映会を通して現地の人の表情が見えたことで、そこに暮らす人々がイメージでき、「被害は風化しない。」そのことを強く感じました。

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シネマエール東北 福島担当 石坂康平

--主催--
一般社団法人コミュニティシネマセンター (シネマエール東北)
朝日座を楽しむ会
--共催--
東日本映画上映協議会
NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭
山形県映画センター/フォーラムネットワーク
日本アカデミー賞協会

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